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お知らせ

連載 「新学習指導要領」を斬る!Vol.2

20171210Vol.2 道徳で大切なのは

 小学校は来年4月から、道徳が「教科」になります。多くの学校で、評価や通知表の欄をどうするかなどの議論が行われています。道徳が教科になることは大きな問題です。そして来年は中学校道徳教科書採択の年です。

 その中で大切にしたいことは何でしょうか。

 

「教科化」の危険性

 子ども一人ひとりが生きていく上で、「何を大切にするのか」これは子ども自身が判断し、決定すべきことです。しかし、道徳が教科化されると「何を大切にすべきか」が教科書で押しつけられ、これに従わないと、評価が下げられるという状況が生み出されます。

 これでは個人が否定され、子どもと本音でつながる教育も破壊され、建て前と本音を使い分ける子どもが、どんどんつくり出される危険性があります。

 

中心点は、子どもの自主的な判断力を育むこと

 道徳教育でもっとも大切なのは、一人ひとりの子どもが生きていく上での、自主的判断力を豊かに育んでいくことにあります。教科書はあくまで国が検定した、一つの教材であり、これに縛られる必要はありません。このことは、教科書会社によって、教材がバラバラに異なっていることからも明らかです。教科書の教材より、目の前の子どもたちにあっている教材があれば、それを優先させていい事は、学校教育法に明記されています。
 指導要領や教科書が示している徳目は、多様なとらえ方があり、教科書通りに縛られる必要はありません。徳目をおしつけるのではなく、大切なのは目の前の子どもたちから出発し、子どもの生活の事実や関心と結んで、自主的判断力や、価値意識を豊かに育むことです。そのような生きた授業こそ求められています。

 

どうする評価?

 教科になると、評価をすることは避けられません。評価は「記述式」ですが、子どもたちの心や人格に評価をつけることは許されません。
 そこで重要なのは「記述式」の利点を生かし、徳目で評価するのではなく、自主的判断力など、成長した変化を書くことが重要です。文科省も「児童生徒がいかに成長したかを積極的に受け止めて認め評価する」としています。
 また、通知表の評価欄をどうするかも問題です。多忙化の中、記述の評価欄が増えることは、教員の大きな負担になります。通知表の作成権限は各学校にあり、評価欄の量は、それぞれの学校で決めることができます。新しく評価が始まるからと、大きな欄を設ける必要はありません。職場の実態から評価欄の量をどうするか議論し、すべての教職員が納得したものとなるよう、合意を図っていくことが重要です。

 

中学校は来年に教科書採択

 道徳は教科化自体が大きな問題ですが、来年は中学校道徳教科書が採択されます。小学校の道徳教科書と同様に、より良い教科書などありません。
 父母・府民と教科化の問題点について幅広い対話と共同を広げ、教科書展示が始まったら、多くの意見を寄せるために、早い時期から呼びかけていくことが重要です。(つづく)

 

≫≫Vol.1 外国語教育の早期化で、子どもたち、学校は…

第29回青年フェスタのご案内

inochitomukiau第29回青年フェスタ

 

日時:2/17(土) 13時 ~ 2/18(日)12時50分

会場:大江戸温泉物語グループ 箕面観光ホテル
日帰り参加費(2日間共通):2000円(学生無料)
宿泊(2食付):19000円

※教職員以外の参加も可能です。お気軽にお問い合わせください。

 TEL: 06-6768-2330

 

【2/17(土)】

◆記念講演
『命と向きあう教室』著者
  制野 俊弘さん(和光大学准教授、元宮城県東松島市立鳴瀬未来中学校教諭)

 1966年宮城県松島市出身。宮城教育大学大学院修了。保健体育の教師として実践を重ねる一方、「生活綴り方」と呼ばれる作文教育に取り組んでいる。共著書に『子どもと共に生きる体育の授業』(明治図書)、『からだ育てと運動文化』(大修館書店)などがある。

※ 記念講演については、金森俊朗さんの予定でしたがご本人の体調不良のため交代となりました。

◆レポート交流会: 青年センセイがレポート!!
予定: クラスづくり(小)、授業づくり(小)、中学校、特別支援教育、中・高の実践など

◆夕食交流会: 楽しい企画が盛りだくさん(^^)♪

 

【2/18(日)】

◆講座

①臨時教職員制度にかかわるQ&A・交流会

②生徒指導・進路指導

③みんなとつながる学級づくり・ゲーム

④体育(実技)

⑤作文

⑥たのしい算数

⑦理科を楽しもう

⑧苦手な人のための音楽

⑨どうなん道徳?!

⑩絵本

⑪ウクレレ

⑫未来につなぐ平和教育

⑬特別支援

⑭多様性を認め合うLGBT

第52回「建国記念の日」不承認大阪府民のつどいプレ企画

17年12月例会案内(暫定版)2.11団体用第52回「建国記念の日」不承認大阪府民のつどいプレ企画(大阪歴史科学協議会 12月例会)

 

報 告 髙田 祐介氏(佛教大学)

   明治維新歴史像の形成と地域の歴史意識―堺事件「殉難者」顕彰を事例に―

 

コメント 田﨑 公司氏(大阪商業大学)

   明治維新150年の会津の位置―「悲劇」か「神話」か―

 

日時 2017年12月17日(日)午後1時30分開会~午後5時

会場 クレオ大阪中央 研修室2(地下鉄谷町線「四天王寺前夕陽ヶ丘駅」)

参加費 300円(大教組の組合員は無料)

主催 大阪歴史科学協議会

共催 「建国記念の日」反対大阪連絡会議、大阪歴史学会

 

 

 

 現在、政府は「明治150年」に向けた関連施策を推進しており、その「基本的な考え方」として、「明治以降の歩みを次世代に遺す」ことや、日本の更なる発展を目指す基礎として「明治の精神に学ぶ」ことなどがうたわれている。そして政府は、こうした基本方針にのっとった施策を地方公共団体や民間も含めて推進することを表明している。歴史を踏まえて今を見直す/未来を構想する営み自体は否定されるべきではなかろうが、ここでわれわれが注意すべきことは、上記の諸施策がかつての「明治百年」のように、日本の近代化を「成功物語」とのみ見なす歴史像を所与のものとして社会一般に投ずることになりはしないか、ということである。
 そこで今回は、大阪を中心とする地域史研究の研鑽に努めてきた本会の立場から、地域の歴史の政治的動員とわれわれはいかに距離をとるかという問題について、歴史的な視角を踏まえた意識喚起を参加者一同におこなえるような企画を用意した。

 今回の報告者髙田祐介氏は、明治維新史観の形成過程について、近年もっとも精力的に研究成果を発表している研究者の一人である。氏は「維新殉難者」の顕彰問題を軸として、彼らがしだいに国家的基準に沿った顕彰の対象とされていく過程を明らかにしてきた。本例会においてもまた、氏のかかる研究成果をもとにして、堺事件の顕彰問題を主な事例としつつ、「維新殉難者」の地域における顕彰活動と国家による顕彰政策との相克などに着目する。このことを通じて、日本の近代化過程をめぐる集合的記憶の本来的な複層性、およびそれらを国家が画一化・一般化しようとする際に見られる政治手法について、史実をもとに再考してみたい。今回はさらに、髙田氏の報告に加えて、自由民権運動をめぐる語りについての編著を有する田﨑公司氏より、大阪周辺地域とは異なる地域の事例や、より広い研究史的な文脈からのコメントを得ることにしたい。

教育のつどい大阪 2017中河内ブロック ゆずりんコンサート

ゆずりん

子どもは未来、平和こそ

ゆずりんコンサート 笑顔がかさなれば

 

 「教育のつどい大阪2017全体会」が10月21日、八尾プリズムホールで開催されました。中河内ブロック11団体で実行委員会をつくり準備を重ねてきました。山本高校の吹奏楽部の演奏、青年教職員の「荒馬」で開会、ゆずりんコンサートが行われ、府内各地から教職員・父母・府民が参加しました。

 

 山本高校吹奏楽部の一体感溢れる演奏で、「教育のつどい大阪2017」全体会の幕が開けました。高校生指揮者のもと、生き生きと演奏する高校生の姿に、会場からは拍手が湧き上がりました。
 中河内ブロックの青年教職員が力強く「荒馬」を踊り、太鼓と篠笛のリズムと演技でたいへん盛り上がりました。
 大阪教職員組合の小林優委員長はあいさつで、安倍改憲と改悪教育基本法の具体化である新学習指導要領のねらいを語りました。それは、「グローバル人材」「戦争する国をつくる人材」の育成のための教育に変質させてしまうことです。子どもと教育、憲法を守るために教職員・父母・府民の対話と共同を大きく広げようと呼びかけました。
 大瀬良篤大教組教文部長は、基調提案とともに来年度から移行措置期間に入る「新学習指導要領」についてのミニ講演を行いました。その中で、極限を超えたつめ込み教育や英語教育など、子どもの成長や発達を無視した内容になっていることが強調されました。
 参加者からは「要点を押さえていて、わかりやすかった」「保育の現場からも、子どもたちのために何ができるか考えたい」「子どものことだけという狭い視野ではなく、先生方と一緒に学校づくりを考えていきたい」などの声があがり、問題点について理解が広がりました。

新連載 「新学習指導要領」を斬る!Vol.1

20171110

外国語教育の早期化で、子どもたち、学校は…

 

 3月に官報告示された、「新学習指導要領」は戦後最悪のものです。極限を超えた「つめこみ」教育、英語教育の早期化・教科化など、子どもたちの発達を無視した内容です。
 子どもたちと、教師を追いつめる、「新学習指導要領」は抜本的見直しが必要です。

 

過去最多の「英単語数」

 小学校で習う「英単語数」は600~700語で、今の中学3年間で習う数の約半分です。その数を高学年の2年間・週2時間で扱うことは、あまりにも無謀です。
 また、中学校で習う「英単語数」も1200語から1600~1800語に増えます。小・中学校で習う数を合わせると、中学校卒業までに習う「英単語数」は2500語です。今の高校生は中学・高校を合わせ3000語を習っています。
 これまでの学習指導要領をみても、今回示されている数は過去最多です。「英単語数」だけを見ても、小学校段階から英語嫌いを多く生む内容です。

 

英語の授業をだれがやる?

 小学3・4年生は「外国語活動」が、5・6年生は教科の「英語」が始まります。高学年は、今の中学1年生の内容です。そのため、発音、アクセント、イントネーション、単語の書き取り、文法までも教えなければなりません。しかし、小学校教員で英語の教員免許をもっている教員は、全国で5%です。しかも、外国語教育では「入門期の指導」がもっとも難しいとされています。
 文科省は外国語専科の配置を要求していますが、財務省はそれを否定しています。
 条件整備が全くできていない中、英語教育を見切り発車することは、学校現場に大変な混乱をもたらし、子どもと教師にさらなる負担を強いることになります。

 

来年4月からはじまる「英語」

 文科省は7月の通知で、来年4月から小学校3・4年生は「外国語活動」を、5・6年生は「英語」を、他教科や総合の時間を削ってでも、年間15時間おこなうこととしています。高学年では、「移行措置期間」から、発音やイントネーション、文法も教えることになっています。
 今後「移行措置期間」に使用する教材が配布されますが、5年生最初の単元で、中学1年生と同じ内容を教えることになっています。教材があるとはいえ、いきなり発音や文法の指導をすることは非常に困難です。これでは「移行措置期間」から、多数の英語嫌いを生むことになります。小学校英語の早期化・教科化は早急に抜本的な見直しが必要です。(つづく)

 

≫≫Vol.2 道徳で大切なのは

第28回青年フェスタでの諏訪原健さんの講演要旨

第28回 青年フェスタ

 2月18・19日、第28回青年フェスタを開催し、500人が参加しました。実行委員の活躍で大いに学び、交流できました。感動と勇気をもらった記念講演の要旨を紹介します。

 

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民主主義は止まらない

 

「市民連合」呼びかけ人 諏訪原 健さん

 

 

 僕は奨学金の返済額が1600万円を超えています。「自由に生きるのはこんなに難しいのか」と思ったことが、声をあげる原体験の一つです。
 2013年末の秘密保護法成立当時、テレビアナウンサーが、「この国の民主主義は死んだ」って言いました。「本当か」と思ったわけです。2014年1月ごろ、後輩から「秘密保護法反対のデモがある」と言われて、ついて行ったことをきっかけに僕も「やってみよう」と考えました。

 

生活の中に政治を

 まずデモを政治に関わる身近な手段にしようと、新宿、渋谷、原宿など普段生活している場所でデモをして、生活の中に政治を放り込みました。
 SEALDsをつくったのは2015年5月3日。6月頃から毎週金曜日に国会前で抗議行動を始めましたが、根本にあったのは、政治文化をどうやって変えていくか。
 一つは国会前を政治に対して声をあげたい人が誰でも集まれるような象徴的な広場にすること。二つ目は、誰でも抗議行動に参加できる文化をつくる。三つ目は、国会の中と外をどうつなげるかを考え、野党議員を呼んで協力してもらう体制をつくることでした。

 

選挙で変えよう

 しかし、安保法制は成立。僕らは、「選挙で変えよう」と話し、野党共闘の実現に向けて市民連合を結成しました。なぜか。共闘によって選挙に勝ちやすくするとともに、争点を自分たちでつくり、投票率の向上を考えていました。昨年2月に5野党が共闘を確認。政党に政治を任せるだけじゃなくて、政党も私たちが変えていくことができた例でした。
 今、南スーダンでの自衛隊のPKO活動について全国で抗議の声があがっています。一人のおじさんが「抗議しなきゃ」と言い出したことがきっかけです。個人の呼びかけでの抗議が当たり前になっています。僕らが考えてきた、誰もが個人で政治に関わることができる状況を一つ体現していると思います。

 

個人が尊重される社会に

 私たちが考えないといけないのは、個人として生きることが尊重される社会をつくっていくこと。例えば、教育ならどんな家庭に生まれてもチャンスが与えられる状況をつくる。「この先の社会をどうつくりかえていくか」という時に、今苦しんでいる人たちの声が反映される形で考えていかないといけない。誰もが政治にものが言える状況をつくることは、そのためにも必要です。誰もが思ったことを言い、政治を変えることが当然になったときに、僕は個人が尊重される社会がつくられると思います。

「中学校学習指導要領案」について

「中学校学習指導要領案」について

2017年3月15日
大阪教職員組合

(1)英語教育について
 今回示された「改定案」では、小学校からの英語教育の早期化・教科化の影響が中学校にも及んでいます。小学校で扱う単語数が600~700語程度とされており、現行の中学校学習指導要領の半分近い単語数を扱うことになっています。そして中学校で取り扱う単語数が1500~1800語となっており、子どもたちには過度な学習負担を強いることになります。また、中学校卒業段階の単語数も、現行の指導要領の1200語から、最大で2500語と倍増します。ここには大きな課題があるといえます。
 それに加え、中学校での英語の授業は原則英語で行うものとされており、授業が高度化するおそれがあります。取り扱う単語数が大幅に増加し、授業が英語で行われることにより、授業がわからずついていけない生徒や大量の英語嫌いを生み出す危険があります。発達段階や系統性を鑑みても、大きな問題をはらんでいるとしか言いようがありません。このような英語教育は行うべきでありません。

 

(2)道徳の「教科化」について

 道徳は一人ひとりの内心にかかわるものであり、教科として指導内容を国が規定することは大きな問題です。教科になることで、国が示す検定基準に応じた教科書を使用することになり、評価を行うことになります。検定された教科書を使用することは、特定の価値観を押し付けにつながり、評価においても「数値による評価は行わない」とするとしていますが、そもそも子どもたちの心に評価をつけること自体が、大きな問題です。
 また総則の第1では道徳教育をとりたて、「我が国と郷土を愛し・・・」とあり、第6の「道徳教育に関する配慮事項」でも同様のことが書かれ、「愛国心」に偏重していることはとても問題があり、子どもたちの内心の自由を侵す危険性があります。そもそも道徳性は、子どもたち一人ひとりが日常の生活や学習の中で主体的に身につけていくものです。それを国が規定した内容とそれに応じた検定教科書を使い行われる、教科化された道徳の授業は、特定の価値観の押しつけを行い、子どもたちが主体的に道徳性を身につけることはできません。

 

(3)育成すべき「資質・能力」について

 「改定案」では、前文を新たに設け、教育基本法第2条の目標を書きこみ、「我が国と郷土を愛する」など「愛国心」の押しつけを幼稚園段階から強化するものとなっています。国旗・国歌の押しつけをはじめ、道徳の「教科化」にもみられるように、特定の価値観の押しつけによる、内心の自由の侵害が強まることが大きく懸念されます。
 また今回の改訂で、国が求める「資質・能力」が明記されています。本来、教育の目的は「人格の完成」であり、子どもたちの全面発達を保障するものです。しかし、国が新たに育成すべき「資質・能力」を規定することは、教育の目的を「人格の完成」から国や財界が求める「人材育成」へと変質させるものでしかありません。また、その育成すべき「資質・能力」の中に「人間性」までも含まれていることは大きな問題です。これは、子どもたちの人格形成までをも管理・支配しようという表れであると考えます。これは、道徳の教科化・全教科の道徳化を教育目標に反映させたものです。個人の尊厳を守り、子どもを成長・発達の主体として全面発達を保障するためにも、国が子どもの人格をまるごと評価、管理しようとしていることは断じて許すことはできません。

 

(4)教育方法、評価方法、学校管理運営まで及ぶ、管理と統制の強化について
 「改定案」では、「アクティブ・ラーニング」という言葉は消えましたが、「主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善」が強調され、授業方法にまで踏み込んでいることに変わりありません。また、「カリキュラムマネジメント」の重要性が強調されていることも大きな問題です。あくまで学習指導要領は教育内容の大綱的基準であり、今回の「改定案」のように、教育方法や評価方法、学校管理運営にまで踏み込むことは、学習指導要領を用い学校への管理と統制を強めることにつながり、断じて許すことはできません。

 以上より、「中学校学習指導要領案」の抜本的見直しを求めます。

 

「小学校学習指導要領案」について

「小学校学習指導要領案」について

2017年3月15日
大阪教職員組合

 

(1)極限にまで達したつめ込み教育について
 「改定案」は、2016年12月21日の中教審「答申」にもとづき、小学校3年生で年間980時間、小学校4年生以上は1015時間と大幅に授業時間数の増加がみられます。これは、発達段階を全く無視した、極限を超えたつめ込み教育となっています。この授業時間数は、全国の3割を超える自治体が白紙撤回を求めた1989年学習指導要領時と同じ授業時間数です。しかし、現行学習指導要領においてその時の内容はすでにつめ込まれており、そこに「英語教育」などで量が増加し、「質・量」ともに極限状態になります。1989年指導要領は週6日制でしたが、今回は週5日制で行うこと、また全国の多くの学校が現行学習指導要領のもとで、標準授業時間数に上乗せした時間割で授業を行っているため、さらなる負担を強いることになります。
 このような「質・量」ともに極限状態の学習指導要領に、どれだけの子どもがついていくいことができ、教育内容をしっかりと習得することができるのでしょうか。子どもたちの実態を無視したつめ込み教育では、大量の勉強ぎらい、学校ぎらいを生み出す危険があります。授業時間数について、見直しを行うことが必要です。

 

(2)英語教育について
 小学校段階では母語をしっかりと身につけることが優先すべきであり、英語教育の早期化・教科化においては、多くの専門家から問題があると指摘されています。しかし、次期学習指導要領では、小学校3・4年生では、いま高学年で行っている「外国語活動」を行い、5・6年生では教科として「英語」を行うこととしています。
 内容もとても高度なものとなっています。小学校で扱う単語数は600~700語となっており、現行の中学校学習指導要領での単語数が1200語といったところからも、子どもに過重な学習負担を強いることは明らかです。また、これまで中学1年生で習っていた文法事項の一部を5・6年生でとり扱うことになっています。その他にも、小学5・6年生の英語の内容は、現行学習指導要領の中学1年生で扱う内容と酷似していることは大きな問題です。
発達段階や系統性を無視した、小学校における英語教育の早期化、教科化はすべての子どもたちに、英語を学ぶ楽しさや学力をつけるものには遠く及ばず、大量の英語嫌いを生み出したり、母語の発達に悪影響をおよぼしたりする危険性があります。次期学習指導要領で示されている英語教育は、抜本的に見直すことが必要です。

 

(3)道徳の「教科化」及び育成すべき「資質・能力」について

 「改定案」では、前文を新たに設け、教育基本法第2条の目標を書きこみ、「我が国と郷土を愛する」など「愛国心」の押しつけを幼稚園段階から強化するものとなっています。国旗・国歌の押しつけをはじめ、道徳の「教科化」にもみられるように、特定の価値観の押しつけによる、内心の自由の侵害がさらに強まることが大きく懸念されます。
 また今回の改訂で、国が求める「資質・能力」が明記されています。本来、教育の目的は「人格の完成」であり、子どもたちの全面発達を保障するものです。しかし、国が新たに育成すべき「資質・能力」を規定することは、教育の目的を「人格の完成」から国や財界が求める「人材育成」へと変質させるものでしかありません。また、その育成すべき「資質・能力」の中に「人間性」までも含まれていることは大きな問題です。これは、子どもたちの人格形成までをも管理・支配しようという表れであると考えます。そして、道徳の教科化・全教科の道徳化を教育目標に反映させたものです。道徳の教科化は、教科として国が規定することで、検定教科書を使用し、評価をすることを押しつけられ、特定の価値観を植え付けます。個人の尊厳を守り、子どもを成長・発達の主体として全面発達を保障するためにも、国が子どもの人格をまるごと評価、管理しようとしていることは断じて許すことはできません。

 

(4)教育方法、評価方法、学校管理運営まで及ぶ、管理と統制の強化について
 「改定案」では、「アクティブ・ラーニング」という言葉は消えましたが、「主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善」が強調され、授業方法にまで踏み込んでいることに変わりありません。また、「カリキュラムマネジメント」の重要性が強調されていることも大きな問題です。あくまで学習指導要領は教育内容の大綱的基準であり、今回の「改定案」のように、教育方法や評価方法、学校管理運営にまで踏み込むことは、学習指導要領を用い学校への管理と統制を強めることにつながり、断じて許すことはできません。

 以上より、「小学校学習指導要領案」の抜本的見直しを求めます。

 

第28回青年フェスタの記念講演は諏訪原健さん(市民連合呼びかけ人)

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日時:2/18(土) 13時 ~ 2/19(日)12時40分

会場:大江戸温泉物語グループ 箕面観光ホテル

日帰り参加費(2日間共通):2000円(学生無料)

宿泊(2食付):16000円

※教職員以外の参加も可能です。お気軽にお問い合わせください。

 TEL: 06-6768-2330 

 

【2/18(土)】

◆記念講演

「民主主義は止まらない」

  諏訪原 健さん(元SEALDsメンバー、大学院生、市民連合呼びかけ人)

 

 1992年、鹿児島県鹿屋市生まれ。SEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動)メンバーとして安保関連法に反対して国会前で抗議活動を行った。「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」(市民連合)の呼びかけ人。現在、筑波大学大学院人間総合科学研究科に在学中。

 

※ 記念講演については、奥田愛基さんの予定でしたがご本人の体調不良のため交代となりました。

 

 

◆レポート交流会: 青年センセイがレポート!!

予定: クラスづくり(小)、授業づくり(小)、保健室、中学校、特別支援教育、小・中・高の実践、臨時教職員 など

 

◆夕食交流会: 楽しい企画が盛りだくさん(^^)♪

 

【 2/19(日) 】

 

①臨時教職員Q&A

②学級経営・生活指導 

③演劇

④作文 講師:土佐いく子(和歌山大学 なにわ作文の会)

⑤絵本 講師:鈴木健司(読み聞かせボランティアサークル三丁目の鷹)

⑥たのしい算数

⑦理科を楽しもう 講師:玉井裕和(近畿大学)

⑧未来につなぐ平和教育

⑨苦手な人のための音楽

⑩楽しく取り組む工作活動 講師:安田ひとみ(元大阪市小学校)

⑪どうなん道徳?! 講師:山口隆(大阪教育文化センター)

⑫アイヌの踊り

⑬FBM(ファシリテーションボールメソッド)による実践紹介&体験 講師:河野健三(FBM研究会)

⑭特別支援 講師:千住真理子(“人間と性”教育研究協議会)、大教組障教部

 

第51回「建国記念の日」不承認2.11大阪府民のつどい

20170211チラシ第51回「建国記念の日」不承認2.11大阪府民のつどい

 

日時:2017年2月11日(土・休)午後1時30分開会(1時開場)

会場:大阪府教育会館たかつガーデン8階

   近鉄「大阪上本町」駅から徒歩3分/地下鉄「谷町九丁目」駅地下鉄 

参加費:500円(高校生以下無料)

主催:「建国記念の日」反対大阪連絡会議

 

 戦前、「紀元節」は、初代神武天皇即位の日とする天皇制国家の重要な祝祭日でした。戦後、「紀元節」の復活をねらう政府は、1966年に「 紀元節の日」であった2月11日を「建国記念の日」と制定しました。「建国記念の日」は国民主権を基本とする憲法の民主主義的原則に反し、歴史の真実を歪めるものです。

 

記念講演
 日本国憲法誕生史・再論~九条に関わる新事実から~

 古関 彰一さん(和光学園理事長・憲政史)

 「日本国憲法は GHQ の押し付け」とも言われるが実際はどうだったのか。「戦争放棄」と沖縄の本土からの分離にはどのような関係があったのか。いつから日本は「平和国家」と言われてきたのか。戦後日本の出発点である日本国憲法の制定過程は、私たちの未来に何を投げかけているか-以上についてお話しいただきます。

 

文化行事

吉矢 千鶴さん(ヴァイオリン)

多田 安希子さん(ピアノ)

 

曲目

・ベートーヴェン ヴァイオリンソナタ第5番「春」より
・ショスタコーヴィチ 4つのプレリュードより

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