「大阪府教育行政基本条例」「府立学校条例」「職員基本条例」の強行可決を糾弾する
戦後の教育と公務員制度を根本から否定する「大阪府教育行政基本条例」
「府立学校条例」「職員基本条例」の強行可決を糾弾する
「大阪維新の会」・自民党・公明党などは、3月23日の大阪府議会本会議で「大阪府教育行政基本条例」「府立学校条例」「職員基本条例」、懲戒条例・分限条例など関連条例の一部「改正」を、教職員・府教育委員・府立PTA関係者・大阪弁護士会・学者・文化人など、広範な教育関係者・父母・府民が反対や批判の声を上げているにもかかわらず、強行可決した。これらの条例は、戦後の教育と公務員制度を根本から否定し、憲法と教育の条理、民主主義を蹂躙するものである。大阪教職員組合は、大阪府議会におけるこれらの条例の強行可決という暴挙を厳しく糾弾する。
「大阪府教育行政基本条例」「府立学校条例」は、政治が教育に全面的に介入して、教育を首長と議会多数派の独裁下におくための仕組みをつくるものであり、改悪教育基本法を強権的に具体化し、「子どもの成長・発達のための教育」から「特定の政治勢力・財界のための人材育成」に教育を変質させるものである。これらの条例は、学校と子どもを絶え間ない競争に追い立て序列化し、競争教育と格差拡大を徹底させるものである。さらには、子どもが集まらない学校の統廃合、公教育縮小・解体をねらうものである。
条例が具体化されれば、学校で学ぶ子どもたちの「心の自由」「考える自由」が奪われ、「豊かに学ぶ権利」が侵害される。その結果、子どもたちにわかる喜びや探求心は育たず、逆に子どもの心に深い傷をつくり、すこやかな成長をゆがめることになる。
「職員基本条例」は、「幹部職員を公募により任用する」「職員の評価制度に相対評価を導入し、概ね5%を最下位評価にし、2年連続最下位評価で免職にできる」「組織の改廃や業務の民間委託などで出た余剰人員は解雇できる」など、憲法にもとづく戦後の公務員制度を根本から否定するものである。
教職員や自治体職員は、住民全体の奉仕者(憲法15条)として仕事をすることが、本来の役割である。しかし「職員基本条例」が具体化されれば、地域住民の実情や願いよりも、処分や免職の脅し、「評価」などを気にかけて仕事をする、知事言いなりの教職員・職員づくりがすすめられる。
ダブル選挙で橋下氏や松井氏を支持した府民からも、条例への批判の声があがり、条例を許さない府民的運動は、短期間のうちに各界・各分野・各地域で急速に広がった。これまでにない規模の府民集会、学習会が開催され、組合所属や立場の違いを超えた共同が各地域・各職場で大きくつくりだされた。強行可決されたが、憲法違反の条例は存在そのものが許されず、条例と名乗る資格がないものと言わざるをえない。府立高校の学区撤廃、3年連続で定員割れをした府立高校の統廃合、「日の丸・君が代」の押しつけによる「内心の自由」侵害など、条例の問題点に対して、父母・府民の関心は大いに高まっている。
大阪教職員組合は、この到達点に依拠し、大阪市議会で継続審議となる「大阪市教育行政基本条例案」「大阪市立学校活性化条例案」「大阪市職員基本条例案」を廃案に追い込むために全力を尽くす。
そして、父母・府民と力を合わせて、憲法と教育の条理にもとづく教育をいっそう豊かに発展させ、強行された条例の廃止と教育を国民の手にとりもどす運動、憲法と民主主義を守る運動に全力をあげることを表明する。
2012年3月23日 大阪教職員組合 書記長