「教育基本条例案」「職員基本条例案」を許さない府民集会が、9月6日にエルおおさか大ホールで開かれました。「条例案の提出・強行をやめさせよう」と、会場に入りきらないほどの府民が参加しました。
府民集会の主催8団体が、条例案の提出・強行を許さないとりくみをすすめようと<府民のみなさんへのアピール>を発表しました(PDFはこちら)。
<府民のみなさんへのアピール>
教育の政治的支配をねらい、子どもを過度の競争にかりたてる「教育基本条例案」、
首長いいなりのものいわぬ職員づくりをねらう「職員基本条例案」の強行は、絶対に許されません。
府民のみなさん。
8月22日橋下知事が代表を務める「大阪維新の会」は、教育の政治的支配のもと、子どもを過度の競争にかりたて、公教育をこわす「教育基本条例案」と首長いいなりのものいわぬ職員づくりをねらう「職員基本条例案」の概要を公表し、9月大阪府議会・大阪市議会に提出するとしています。
府民要求でもない「大阪維新の会」の条例案に対し、多くの識者が疑問や異論を表明しています。文部科学省出身で、京都造形芸術大学の寺脇研教授は、「日本の教育史上、ここまで教育現場を縛る条例案はない。こういうのを教育の政治利用と言う。そもそも教育委員会を独立させている理由は、選挙目当てに使わせないためだ」と厳しく批判し、中西正人大阪府教育長も、8月26日の記者会見で「条例の内容を直ちにすべてすすめれば、大阪の教育は大混乱する。大阪の教育にとって良くないということは言っておきたい」と、教育行政の責任者からも明確に異論が表明されています。
戦前の教育が政治に支配され、侵略戦争を推進する役割を担わされたことの反省から、戦後の教育は、政治からの中立性や自主性を保つために、独立した委員会として教育委員会制度が導入され、首長への権限集中を防ぐものとされました。
首長が設定した目標に到達しなかった教育委員を議会の同意を得て罷免すること、府立高校の学区を撤廃すること、「学力調査」結果を市町村別・学校別に公開することなどを一方的に盛り込んだ「教育基本条例案」のねらいは、過度の競争を激化させ、競争に勝ったものだけを手厚く面倒を見て、競争に負けた子どもたちを切り捨てることです。
また「条例」を口実にして、教育委員会制度を形骸化させ、政治が教育に全面的に介入し、時の政治権力に従順な教職員をつくり、財界が望む「競争主義と管理主義」教育を徹底することをねらうものです。
「職員基本条例案」は、地方自治体の幹部を公募制にし、時の首長の意のままになる幹部採用をできるようにし、職員の一定数を相対評価で必ず最下位評価にし、2年連続で最下位評価となった職員を免職できるようにするなど、関西財界と民間大企業主導の政策をすすめるため、ものいわぬ職員づくりをねらい、憲法15条「公務員は全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」を蹂躙するものです。
今、府民のみなさんが学校や教育に求めていることは、「経済的心配なく学校に通わせたい」「学校の耐震化を急いでほしい」「楽しく学校に通い、しっかり学んで成長してほしい」などです。深刻な不況と失業、非正規労働が増えるなかで、府民のみなさんが職員に望んでいることは、府民の生活と権利を守ることのではないでしょうか。
府民のみなさん。
「大阪維新の会」の「教育基本条例案」「職員基本条例案」提出は、子どもたちの成長・発達を保障する教育行政をすすめるのか否か、住民の福祉の増進、命とくらしを守る地方行政をすすめるのか否かが問われる重大問題です。9月大阪府議会・大阪市議会での「大阪維新の会」の政治的暴走を許さず、「教育基本条例案」「職員基本条例案」の強行を許さないたたかいを、ご一緒にすすめようではありませんか。
2011年9月5日 子どもと教育・文化を守る大阪府民会議 代表 藤木 邦顕
憲法改悪阻止大阪府各界連絡会議 幹事長 梅田 章二
自由法曹団大阪支部 支部長 伊賀 興一
民主法律協会 会長 萬井 隆令
国民救援会大阪府本部 会長 戸谷 茂樹
全大阪労働組合総連合 議長 川辺 和宏
大阪自治体労働組合総連合 委員長 前田 仁美
大阪教職員組合 委員長 田中 康寛