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憲法・平和

日本国憲法を守り、日本社会に生かそう

日本国憲法には人類の宝がいっぱい

 日本は、第2次世界大戦のなかで、ドイツ・イタリアのファシズム諸国と軍事同盟を結び、中国やアジア・太平洋地域への残虐な侵略戦争をおこない、その戦争に敗北しました。5千数百万人が死亡した第2次世界大戦、日本全土が焦土となり、広島・長崎には原子爆弾が投下されました。こうした悲劇を2度とくりかえしてはならないと、国際社会は、「国際連合」をつくり、戦争そのものと国際紛争を解決するための武力行使を厳しく禁じました。戦争禁止、国際紛争の平和的な解決の原則をさらに徹底したのが、日本国憲法です。すなわち、あらゆる戦争を放棄し、戦力の不保持、国の交戦権を放棄して、徹底した平和主義の原則にたったのです。
 また国の権力者が、国民のさまざまな権利を踏みにじって、情報を操作し、国をあげての戦争に駆り立てた反省のうえに、国民主権を宣言し、一人ひとりの基本的人権の擁護・尊重を高らかにうたいあげています。
 その主なものを列挙すると、
 第13条 幸福追求権
 第19条 思想及び良心の自由
 第21条 集会・結社・表現の自由
 第23条 学問の自由
 第25条 生存権
 第26条 教育を受ける権利
 第27条 勤労権
 第28条 団結権
――などです。
 憲法9条のある日本で、毎年5兆円もの軍事費が支出される一方で、社会保障にかかわる予算が2200億円も削られ、「医療崩壊」ともいわれる事態がすすんでいます。貧困と格差が広がるなかで、貧しさゆえに大学などの高等教育を断念せざるを得ないなど、憲法26条の「教育を受ける権利」が保障されていない実態もあります。大企業が正規社員を減らし、派遣・請負・パートなど非正規への切り替えをすすめるなかで、まともな働き口がなく、労働者の3割、青年や女子は半数もの人たちが非正規の労働を余儀なくされています。これは、憲法27条に保障された勤労権が守られていない姿です。
 憲法を守るとともに、それを日本社会に生かすことこそ求められます。

いま、日本国憲法が危ない

 この日本国憲法を変えようとする動きが近年、強まっています。結党以来、党是に改憲をかかげる自民党はもちろん、野党第一党の民主党まで、「憲法は時代にあっていない」「一国平和主義でいいのか」などと主張し、現行憲法のもとでも「国連の決議があれば、自衛隊を海外に派兵し、武力行使もできる」(小沢党首)との見解をだすにいたっています。
 こうした改憲の背景に、「自衛隊は、後方支援ばかりでなく、アメリカとともに戦争をする軍隊になるべきだ」とのアメリカの強い圧力があります。多国籍企業化した日本の大企業の海外での権益を守るために、自衛隊の海外派兵・武力行使を主張する日本の財界も改憲への動きを強めています。
 明文改憲だけでなく、自衛隊の海外派兵・武力行使を恒久化する法律を制定しようとの動きも急であり、改憲阻止のとりくみは日本の進路にとって、極めて重要になっています。

改憲のねらい 其の1
自衛隊の海外派兵と武力行使が改憲のねらい

 改憲の最大のねらいは、日本が世界に誇る憲法9条を改悪し、アメリカが地球的規模でひきおこす無法な戦争に日本が参加できるようにすることです。イラク戦争に象徴される、大義も道理もないアメリカの勝手な侵略戦争に、日本の自衛隊を海外派兵させ、武力行使に道を開き、戦争に国民を総動員する「戦争する国に」日本をつくりかえることが、そのねらいです。
 日本はこれまで、アメリカがひきおこした戦争に多額の支出をおこない、給水や給油、様々な運搬など全面的な協力をおこなってきました。しかし、アメリカはそれでも足りないと、日本の若者の命を差し出すように要求しているのです。
 9条改憲は、「教え子は再び戦場に送らない」と誓った教職員組合として、絶対に許すことができません。

改憲のねらい 其の2
格差社会のいっそうの推進

 改憲のもう一つのねらいは、格差社会をいっそう推進するためです。
トヨタを筆頭に多国籍企業化した日本の大企業は、これまで国民の暮らしを守り支えてきた様々な規制を取り払い、また、自民党政治を支えてきた公共事業のばらまきに代表される利益誘導型のしくみを打ち壊し、「市場原理」「自己責任」のもとに、自由に国内でも利益をあげられる「弱肉強食」の体制を強く要求しています。それは、生存権、社会保障の権利、労働基本権、教育を受ける権利など、日本国憲法が定める諸権利と鋭くぶつかります。日本の大企業は、労働者の首切りや賃下げにより巨大な儲けを続けていますが、改憲をおこない、本格的にその体制を強化しようとしているのです。

憲法を守る国民的多数派をつくろう
職場9条の会をすべての職場に

 いくらアメリカや日本の財界が改憲を叫び、自民党や民主党がそれを実行しようとしても、改憲のためには、①国会議員の3分の2以上の賛成を得て、改憲を発議すること、②国民投票で、国民の過半数が改憲に賛成すること――という2つのハードルがあります。私たちは、日本国憲法、とりわけ9条を守り、生かすことを求める草の根からの大運動にとりくんでいます。
 その一つが、すべての職場に、憲法9条を守り生かそうという一点で、労働組合の所属やその違いをこえて共同する「職場9条の会」づくりです。大教組は、すべての学校園で、「職場9条の会」づくりにとりくんでいます。そこでは、大教組の組合員だけでなく、日教組の組合員や未組合員、なかには管理職まで参加しているところも生まれています。

9条を守り生かす国民過半数署名の達成を

 もう一つの重要な運動の柱が、「憲法9条を守り生かすことを求める」国民過半数署名運動です。改憲は、最終的に国民投票という手続きにゆだねられます。そこで、今のうちにゆるぎない国民過半数世論をつくろうというのです。
 大教組は、大阪憲法会議・共同センターに結集し、組織をあげて国民過半数署名の達成、そのための府民過半数署名の達成に全力をあげています。

(2008.4.4)