新連載 「新学習指導要領」を斬る!Vol.1
外国語教育の早期化で、子どもたち、学校は…
3月に官報告示された、「新学習指導要領」は戦後最悪のものです。極限を超えた「つめこみ」教育、英語教育の早期化・教科化など、子どもたちの発達を無視した内容です。
子どもたちと、教師を追いつめる、「新学習指導要領」は抜本的見直しが必要です。
過去最多の「英単語数」
小学校で習う「英単語数」は600~700語で、今の中学3年間で習う数の約半分です。その数を高学年の2年間・週2時間で扱うことは、あまりにも無謀です。
また、中学校で習う「英単語数」も1200語から1600~1800語に増えます。小・中学校で習う数を合わせると、中学校卒業までに習う「英単語数」は2500語です。今の高校生は中学・高校を合わせ3000語を習っています。
これまでの学習指導要領をみても、今回示されている数は過去最多です。「英単語数」だけを見ても、小学校段階から英語嫌いを多く生む内容です。
英語の授業をだれがやる?
小学3・4年生は「外国語活動」が、5・6年生は教科の「英語」が始まります。高学年は、今の中学1年生の内容です。そのため、発音、アクセント、イントネーション、単語の書き取り、文法までも教えなければなりません。しかし、小学校教員で英語の教員免許をもっている教員は、全国で5%です。しかも、外国語教育では「入門期の指導」がもっとも難しいとされています。
文科省は外国語専科の配置を要求していますが、財務省はそれを否定しています。
条件整備が全くできていない中、英語教育を見切り発車することは、学校現場に大変な混乱をもたらし、子どもと教師にさらなる負担を強いることになります。
来年4月からはじまる「英語」
文科省は7月の通知で、来年4月から小学校3・4年生は「外国語活動」を、5・6年生は「英語」を、他教科や総合の時間を削ってでも、年間15時間おこなうこととしています。高学年では、「移行措置期間」から、発音やイントネーション、文法も教えることになっています。
今後「移行措置期間」に使用する教材が配布されますが、5年生最初の単元で、中学1年生と同じ内容を教えることになっています。教材があるとはいえ、いきなり発音や文法の指導をすることは非常に困難です。これでは「移行措置期間」から、多数の英語嫌いを生むことになります。小学校英語の早期化・教科化は早急に抜本的な見直しが必要です。(つづく)
(2017.11.13)