第52回「建国記念の日」不承認大阪府民のつどいプレ企画
第52回「建国記念の日」不承認大阪府民のつどいプレ企画(大阪歴史科学協議会 12月例会)
報 告 髙田 祐介氏(佛教大学)
明治維新歴史像の形成と地域の歴史意識―堺事件「殉難者」顕彰を事例に―
コメント 田﨑 公司氏(大阪商業大学)
明治維新150年の会津の位置―「悲劇」か「神話」か―
日時 2017年12月17日(日)午後1時30分開会~午後5時
会場 クレオ大阪中央 研修室2(地下鉄谷町線「四天王寺前夕陽ヶ丘駅」)
参加費 300円(大教組の組合員は無料)
主催 大阪歴史科学協議会
共催 「建国記念の日」反対大阪連絡会議、大阪歴史学会
現在、政府は「明治150年」に向けた関連施策を推進しており、その「基本的な考え方」として、「明治以降の歩みを次世代に遺す」ことや、日本の更なる発展を目指す基礎として「明治の精神に学ぶ」ことなどがうたわれている。そして政府は、こうした基本方針にのっとった施策を地方公共団体や民間も含めて推進することを表明している。歴史を踏まえて今を見直す/未来を構想する営み自体は否定されるべきではなかろうが、ここでわれわれが注意すべきことは、上記の諸施策がかつての「明治百年」のように、日本の近代化を「成功物語」とのみ見なす歴史像を所与のものとして社会一般に投ずることになりはしないか、ということである。
そこで今回は、大阪を中心とする地域史研究の研鑽に努めてきた本会の立場から、地域の歴史の政治的動員とわれわれはいかに距離をとるかという問題について、歴史的な視角を踏まえた意識喚起を参加者一同におこなえるような企画を用意した。
今回の報告者髙田祐介氏は、明治維新史観の形成過程について、近年もっとも精力的に研究成果を発表している研究者の一人である。氏は「維新殉難者」の顕彰問題を軸として、彼らがしだいに国家的基準に沿った顕彰の対象とされていく過程を明らかにしてきた。本例会においてもまた、氏のかかる研究成果をもとにして、堺事件の顕彰問題を主な事例としつつ、「維新殉難者」の地域における顕彰活動と国家による顕彰政策との相克などに着目する。このことを通じて、日本の近代化過程をめぐる集合的記憶の本来的な複層性、およびそれらを国家が画一化・一般化しようとする際に見られる政治手法について、史実をもとに再考してみたい。今回はさらに、髙田氏の報告に加えて、自由民権運動をめぐる語りについての編著を有する田﨑公司氏より、大阪周辺地域とは異なる地域の事例や、より広い研究史的な文脈からのコメントを得ることにしたい。
(2017.12.1)