今こそ安心して学べる学校を!(大阪教育20年5月号)
学校再開へ
今こそ安心して学べる学校を!
~教育条件の改善と、子どもの実態に即した学校づくりを~
登校日が設けられ、子どもたちの声が学校に戻ってきました。久々に子どもたちの顔を見て安心された先生も多いのではないでしょうか。無責任な休校要請から3か月近く経ち、学校再開が近づいてきています。様々な思いや不安を抱いた子どもたちを、私たちは学校で迎え入れます。登校日などの機会に、子どもたちが休校期間に抱いていた思いや、再開後に学校でしたいことなどを手紙などで聞いてみるといった取り組みで、子どもたちと私たち教員が繋がりを持つことが大切ではないでしょうか。
教育環境の改善が必要
行政の通知などにふりまわされ、子どもたちも保護者も、教職員も疲弊している状況が続く中、学力保障に関して不安をあおる報道が多く見られます。そんな中で、「長期休業削減」「9月入学」「オンライン教育」など、子ども不在の様々な意見がメディア、政治家などにより無責任に飛び出してきています。
しかし、そもそもこれまでの劣悪な教育条件、学校の教育状態を行政が放置してきたことが、このコロナ災害時に影響しているのです。付け焼刃的な施策ではなく、次のような教育条件の改善を求めていくべきです。
今こそ求めたい五つのこと
①少人数学級の実施
②学校の教育環境の改善
③養護教諭の複数配置をはじめとした教職員定数増
④チャレンジテスト・全国学力学習状況調査の見直し
⑤学校教育課程の自主編成権の保障
大阪府では「適正規模」「切磋琢磨」の名の下に学校の統廃合が進められようとしています。しかし、他県では、感染拡大防止と通常の学校生活を両立できる小規模校も存在し、府の「適正規模」は全く当たらないものです。
教職員の専門性の発揮を
文科省の「学力保障」は、「学習指導要領の完全な遂行」に縛られたものです。学力保障は必要ですが、子どもの実態把握とケアを伴う学校生活再開の方が重要です。そのためには、「標準授業時数ありき」の対応は現実的ではありません。
この点を私たち教職員の専門性を発揮することで解消できないでしょうか。一つの例ですが、大阪教育文化センターの提言を見てみましょう。
提言の中では9月から、2月末日までの時間で授業を行うために、私たち教師の教育課程編成の力でバッサリと内容に軽重をつける案が具体的な指導時数とともに示されています。短縮した授業計画を考えておけば、時間的余裕をもって子どもたちに向きあうことができます。特に入試を控えた最終学年については、休校措置分のフォローや学習補助にも取り組むことができます。
高校入試や大学入試の内容削減と早急な範囲の提示も求めています。子どもや教職員に過重な負担をかけることなく、年度内で行うことができる柔軟な提案となっています。子ども中心の学校教育再開のために必要な視点です。
復活の日~学校再開に向けて~
文科省・地教委には標準授業時数を確保することのみを重視して学校現場に強制力を働かせるのではなく、子どもたちの実態に即した教育課程編成を学校が柔軟に行えるような支援が求められます。それこそ今の行政が取り組むべきことです。文科省には、「カリキュラムマネジメントを各自治体や国が最大限支援する」という5月15日の通知に基づき、学校の判断を尊重することが求められます。
学校再開が近づいています。今、子どもたちのために、私たち教職員の専門性が求められています。
教育課程づくりのために(日常が戻っても)
教育センター提言より(https://osaka-kyoubun.org/archives/2885)
①子どもたちには何が必要かを考える
私たちは1年間の授業計画を立てています。その中から、子どもたちに伝えるべきことを考えて精選し、年度末までの授業計画を作成します。完璧でなくとも、授業は子どもたちの姿に応じて変化していくものです。実践の中で柔軟に変えていくことで十分に対応できます。
②父母・保護者の理解と合意を
長引く休校での保護者の不安を受け止めたうえで、「大丈夫です。」と授業計画とともに伝えることで、理解してもらい、納得してもらえます。学校と保護者がともに子どもたちを守り育てるためにも、保護者の理解と合意を得ることで、信頼関係を深めていきます。
③教職員の合意づくりを
この混乱の中で職員室のみんなが困っています。声をかけて、共に学校としての教育課程をつくる中で、校長も巻き込んだ学校としての合意が形成できるはずです。それは、ゆくゆくは子どもたちの過重な学習負担の軽減、教職員の過重な労働の軽減につながります。
(2020.6.5)