「2条例案を撤回し、府民主役の府政へ」 大教組書記長が訴え
「2条例案を撤回し、府民主役の府政へ」 大教組書記長が訴え
大阪府議会本会議が開かれる10月21日に、大阪教職員組合や大阪憲法会議など8団体は大阪府庁本館前で教育・職員基本条例案の撤回を求める街頭宣伝を行いました。父母、元校長、弁護士、教職員、府職員など立場を超えて約100人が参加し、テレビ局や新聞社が取材に入りました。
<街頭宣伝での大教組書記長の訴えを紹介します。>
府民のみなさん。
橋下「維新の会」が提出した「教育基本条例案」「職員基本条例案」に対し、教職員、府職員、教育委員、教育関係者はもとより、PTA、弁護士、文化人、民間の労働者、府民など多方面の方から「批判」の声がわき起こり、その世論の広がりが、独裁政治を進める橋下「維新の会」の支持低下に確実に結びついてきています。
「教育基本条例案」については、大阪府・中西教育長、5人の教育委員全員が反対し、府内41市町村の教育長全員が「条例案」にある学力テストの学校別結果公表に反対を表明しています。
首長が設定した目標に到達しなかった教育委員を罷免すること、3年間定員に満たなかった府立高校を統廃合すること、府立高校の学区を撤廃すること、「学力調査」結果を学校別に公開することなどを、一方的に盛り込んだ「教育基本条例案」のねらいは、競争教育をさらに激化させ、競争に勝ったものだけを手厚く面倒を見て、それ以外の多くの子どもたちを冷たく切り捨てること、教育の中立性と自主性を保つべき教育委員会制度を変質させ、特定の政治勢力が教育に全面的に介入し支配すること、処分・免職の脅しで学校と教職員を屈服させ、時の政治権力いいなりの教職員をつくり、財界が望む「競争と管理」教育を徹底させ、公教育をつぶすことにあります。
2条例案は、職員・教職員評価に相対評価をもち込み、どんなに職員・教職員が府民や子どもの願いに応えようとがんばっても、相対評価でさらに賃金格差を広げ、最下位5%を首切りできる制度にしています。
しかし、2011年の富士通総研・経済研究所のレポートでは、民間企業の、同年齢の労働者の賃金格差を広げる制度は、短期的な成果ばかりに目が向き、社員の精神負担を増大させ、健康状況の悪化など弊害があり、直視すべき課題であると結論づけています。
相対評価については、人材育成は自己責任とされた1990年代後半から、2007年には企業責任とする企業が76.7%に達するなど、社員を切りすてるのではなく、社員を大切にする方向にかわり、相対評価を採用する企業は、現在大きく減少し、制度そのものが破綻してきています。
わたしたちは、すべての子どもの健やかな成長・発達を願い、子どもや府民が大切にされる府政実現の立場から、2条例案反対の運動にとりくみ、9月6日の府民集会を1200人で成功させ、街頭宣伝を繰り返し行い、PTAや教育関係者との懇談、2条例案撤回を求める署名を府下各地で広げてきました。
2条例案の撤回を求める署名は、組織や立場のちがいをこえて大きくひろがり、現在PTAや府民にも大きな共感を持ってうけとめられています。
また、府下各地で街頭宣伝を繰り返すごとに府民的共感が広がり、ビラの受け取りもよくなってきています。10月7日の駅頭宣伝は、府下260駅、4万人を越える府民がビラを受け取り、多くの府民が耳を傾けてくださいました。
「はじめは橋下『維新の会』を応援してきたけれど、最近傲慢でおかしくなってきている」「いっそう競争をすすめる教育には賛成できない」「3年間定員不足で公立高校を統廃合することは、子どもの学ぶ権利をうばうもの」など、橋下「維新の会」への不満や批判の世論が確実に広がっています。
府立高校PTA協議会は、10月19日「教育基本条例案」の「改善・撤廃」を求める嘆願書を、知事と「維新の会」、府議会議長に提出しました。嘆願書は、「大阪は庶民の町。いろいろな意見があるからこそ「おおさか魂が栄えた町」。橋下知事の一方向だけが「大阪の教育」と決めてしまうことはこわいこと」と批判しています。父母・府民は、この条例案が子どもや教育にどのような悪い影響をあたえるのか、我がこととして真剣に考えています。
今、知事や大阪府がやるべきことは、子どもいじめの「教育基本条例案」ではなく、子ども・父母・教育関係者の切実な願いに応えて、教育条件を整えることです。
知事が、子どもや教職員を縛るのではなく、子どもたちのための教育条件を整えることこそ、知事と府政の責任です。また、そのことを明記した「子どもの権利条例」の制定こそが必要です。
国にさきがけて府独自で少人数学級を実現すること、小学校3年生と中学校1年生で35人学級を速やかに実施する予算は49億円で、その気があれば十分可能です。
全国平均を大きく下回る小・中学校、公立高校の学校耐震化を早期に完了すること、中学校給食の導入促進のための府の補助を3分の2に引き上げること、非正規の教職員4000人を本来の正規採用にすることなどは、父母・教育関係者・府民の切実な願いです。
2条例案は、子どもたちの成長・発達を保障する教育行政をすすめさせるのか否か、住民の福祉の増進、命とくらしを守る地方行政をすすめさせるのか否かが問われる重大問題です。
橋下「維新の会」の独裁政治を許さず、「教育基本条例案」「職員基本条例案」の強行を阻止するたたかいを、府民にやさしく、府民が主人公の府政実現に結びつけることが、いま重要です。
府民のみなさん。
北アフリカでは、一部の特権階級に富を集中させ、国民には貧困と格差拡大、失業を押しつける独裁政権が、チュニジア、エジプト、リビアで国民運動により打ち倒されました。そして、アメリカでも1%の大金持ちが富や政治を支配し、国民に貧困と格差を強いる政治に、ニューヨークのウォール街でのデモを契機に、全米150カ所で批判の国民運動が広がっています。わたしたちの愛する国・日本、この大阪でも、知事独裁の冷たい大阪府政から、府民の願いが大切にされる「府民が主役」の府政実現と、「教育基本条例案」「職員基本条例案」を許さないために、立場や所属の違いを越えて、一緒に運動をすすめようではありませんか。
以上でわたしからの訴えを終わります。
(10月21日の訴えに若干の加筆・修正を加えました。)
(2011.10.21)