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活動紹介・見解

CEARTが大教組からのヒアリングを実施

「教員の地位に関する勧告」というのをご存知でしょうか?1966年に特別政府間会議において全会一致で採択されたものです。もちろん出席していた日本政府も賛成しています。この勧告は、「教育を受ける権利は基本的人権のひとつ」という前文にはじまり、教員養成と研修、学問の自由、雇用条件、教師の権利と責任、教育諸条件など、教員の地位に関する全面的内容が記されています。「教員に関する勧告の適用に関わるILO・ユネスコ共同専門家委員会(CEART)」は、この勧告が各国で適用されているか、また守られているかどうか、監視するところです。そのCEARTが本年、日本に調査団を派遣しました。世界で初めてのことです。2002年6
月に全教は、「日本政府は教員の地位に関する勧告を遵守していない」として、ILO・ユネスコ(CEART)に申し立てをおこないました。それを受けCEARTは、文部科学省や全教からの「見解」や「反論」の提出を求め、その内容を吟味したうえで、03年12月と06年1月の2度にわたり、勧告をおこないました。
 その主な内容は、
○ 「指導力不足教員」政策について、「適正手続きが十分であるとはいえず、」意見表明や不服申し立ての権利が十分与えられていないとして、「現行制度では『勧告』の水準を到底満たしえない」。
○ 新たな教職員評価制度の導入と実施は、①教員団体との十分な協議を欠いている ②重大な影響をもたらす主観的評価がおこなわれている ③教員がおこなわれた評価の詳細とその根拠を知る権利を与えられていない ④勤務評定の過程に公開性と透明性が欠如しており、評価自体に関する権利・不服申し立ての明確な権利が存在していない。
○ これらの問題について、文部科学省と全教の間の建設的な対応を要求する。
――というものです。いわば、文部科学省やその意を受けた地教委のやり方が国際基準としての「教員の地位に関する勧告」に反しているとのきびしい「勧告」です。しかも、2度にわたるこうした「CEART勧告」で、日本の事態は好転しないとみたCEARTは、世界初の調査団の日本派遣まで決定したのです。
 大阪での調査活動は、4月24日に大教組からのヒアリングを実施しました。そのときの詳しい内容は、本年11月に出す予定の報告書までつまびらかにできませんが、大阪における「評価・育成システム」のずさんな実態と大教組のたたかいに調査団もおおいに触発されたようです。全国の教職員を励ます報告書ができあがると大教組は確信しています。

(2008.5.8)