桜宮高校問題 「教育こわし」の介入はやめよ
桜宮高校問題 「教育こわし」の介入はやめよ
体罰のない学校づくりを 問題の中心点
大阪市立桜宮高校において、体罰を受けた生徒が自殺する痛ましい事件が起きました。生徒の命が2度と失われないよう真剣に総括し、原因と背景を明らかにすることが強く求められています。しかし橋下市長はこの問題を政治的に利用して、政治介入をくり返し「教育こわし」を押しすすめています。
〈命と人権を何よりも大切に〉
今、大阪の教育に何が求められるのか、父母・府民との対話を大きく広げましょう。
管理職はなぜ体罰の事実を知りながらも、隠蔽をくり返していたのか?
体罰は教育ではなく、苦痛や恐怖によって生徒を支配する人権侵害であり、どんな理由をつけても許されるものではありません。管理職・教職員が体罰を容認したのはなぜなのか? 具体的な事実関係と原因・背景を明らかにし、まず桜宮高校自身が学校の再建へ、体罰のない学校づくりに踏み出し、教育のあり方を問い直していくことが求められています。
橋下市長のねらい
1責任逃れのスリカエ
橋下市長は、「体育系学科の入試中止」や「教員の総入れ替え」などで、問題となった学科や当事者をなくしてしまい、問題の原因や背景を追及できないよう覆い隠そうとしています。それは、上記のように橋下市長自身が問題の根源となる施策を推進した張本人だからです。責任を逃れるため入試や人事の問題にスリカエて恫喝し、問題の原因追及をあいまいにさせようとしています。
2「教育こわし」の推進
さらに問題を政治的に利用し、教育委員会の政治的中立性や専門職性を否定する制度改悪や、学校教育への直接介入を土足でおしすすめようとしています。さらに高校教育の特色化政策は見直さず、教育における体罰を「有形力の行使」と称して、今もって容認論を広げています。
介入許さず、教育のあり方を今こそ問い直そう
今こそ、大阪市の高校で推しすすめられてきた競争と管理の教育政策を根本から見直すことが求められています。そして桜宮高校をはじめ、一つひとつの学校が教育にしっかりと責任をもち、生徒を主人公に教職員と父母が共同して、体罰のない学校づくりを自主的に押しすすめていくことが重要です。学校は直接の当事者が共につくり上げていくものであり、政治権力による乱暴な介入は断じて許されません。
問題の根源
1 高校の特色化づくり
-激しい競争と勝利至上主義-
桜宮高校は、大阪で最初の「体育科」を設置した特色校です。そして大阪市の高校制度は全国でも有数の高い特色化率で、学校間の競争はとても激しくなっています。こうした中で各学校に持ち込まれた「勝利至上主義」、強豪校の閉鎖的な体質が、体罰の土壌になっています。
橋下市長は、知事時代から露骨に予算に差をつける、高校の特色化を推進してきました。大学進学率の高いトップ10校にだけ2億円の予算を配分する進学指導特色校や、部活の全国大会で優秀な成績を収めた学校にだけ総額で1億7500万円を配分する「がんばった学校支援事業」など、えこひいき予算で各学校を競わせてきました。
2 体罰容認論を広げる
「目的のためには手段を選ぶな」という成果主義が、体罰を容認してきた温床ですが、それに加えて大阪では橋下市長自身が体罰容認論を広げてきました。「教育は2万パーセント強制」と述べ、「大阪維新の会」の教育基本条例案では「教育上必要があるときは、…有形力の行使…できる」と明記しました。また「口で言って聞かないと手を出さないとしょうがない」(2008年10月、府民討論会)、「いざというときには子どもに手を出すときはある」(11年10月、ツイッター)、「正直、ぼくはクラブ活動の中でビンタすることはありうると思っている」(13年1月)と、体罰をあおってきました。
(2013年2月)
(2013.2.28)