「慰安婦」制度を正当化し、侵略戦争を肯定する橋下徹大阪市長の暴言に抗議し、発言の撤回と謝罪、大阪市長職の即時辞任を強く求める(声明)
「慰安婦」制度を正当化し、侵略戦争を肯定する橋下徹大阪市長の暴言に抗議し、発言の撤回と謝罪、大阪市長職の即時辞任を強く求める(声明)
5月13日、「日本維新の会」共同代表である橋下徹大阪市長は、「銃弾が飛び交う中で命をかけて走っていく時に、精神的に高ぶっている集団に休息をさせてあげようと思ったら、慰安婦制度が必要なのは誰だってわかる」などと、旧日本軍「慰安婦」制度を正当化し、女性の人権をはじめ、人間の尊厳を踏みにじる許し難い暴言を吐いた。
橋下徹大阪市長は、昨年8月にも「慰安婦」問題について「強制」の事実をゆがめる暴言を繰り返したが、今回の暴言は「慰安婦」制度の必要性を説くところまでエスカレートしたもので、人権感覚が欠如した、人間の尊厳をおとしめるものと言わざるを得ない。
さらに橋下徹大阪市長は、「現代社会にも風俗業はある」と、旧日本軍の「性奴隷」となることを強制された「慰安婦」を、現代の風俗業と同列に並べる暴論を展開した。そして、沖縄米軍普天間基地を訪問した際に、自ら米軍海兵隊指令官に「もっと風俗業を活用してほしい」と要請し、司令官を凍り付かせた。
自民党・安倍首相は、歴史教科書の「近隣諸国条項」見直しを主張し、「慰安婦」問題で日本軍の強制性を認めた「河野官房長官談話」、植民地支配と侵略を認めた「村山首相談話」の見直しに言及している。さらに安倍首相が通常国会で憲法改悪のスケジュールまで明言するもとで、「慰安婦」制度を正当化する橋下徹大阪市長の発言は、侵略戦争を肯定し、憲法改悪の動きを促進させるとともに、「戦争する国づくり」「戦争する人づくり」に結びつける意図があることは明白である。
15年戦争は、2000万人を超えるアジアの人々の命を奪い、国内では300万人を超える人々が命を失うという悲惨な侵略戦争であり、戦後日本は、その深い反省にたち、国民主権・基本的人権の尊重・平和主義などを原則とした日本国憲法を制定した。
この間橋下徹大阪市長は、教育に対して極めて不当な政治介入を繰り返してきたが、その本質が今回の発言に表れている。それは、日本の侵略戦争を肯定し、さらには「目的のためには手段を選ばず」、人間を道具と扱い、人権を平気で踏みにじり、奴隷扱いにして利用しようとするものである。このような人物に教育を語る資格などない。教育の営みは、子どもの命と尊厳を何よりも大切にし、人を思いやる心など、子どもの豊かな人間性を育む営みであり、平和と人権尊重を最も大切にする営みである。
日本国憲法の原則を遵守せず、「慰安婦」制度と侵略戦争を肯定し、平和と人権を踏みにじる橋下徹・「日本維新の会」共同代表の言動は、大阪市長としても、日本の政治家としても、国内外にその資質と資格が大きく問われる問題である。
大阪教職員組合は、橋下徹市長に対し、満身の怒りを込めて抗議するとともに、発言の撤回と謝罪、および大阪市長職の即時辞任を強く求めるものである。
2013年5月14日
大阪教職員組合
(2013.5.14)